当サイト(鋼製砂防構造物データベース)について

鋼製砂防構造物のデータベースは、砂防鋼構造物研究会(JFE建材株式会社、日鉄建材株式会社)が長年、開発し運用していたものを、当センターが引継いで運用しているものです。

令和6年6月、STCは、「砂防鋼構造物研究会」(以下、「研究会」と称する。)から鋼製砂防構造物の研究、技術の普及に関する業務を引き継ぎました。これまで「研究会」が発信されてきた「鋼製砂防構造物」の情報は、STCが発信していきます。

砂防鋼構造物研究会について

 「研究会」は、鉄鋼メーカー8社による鋼製砂防構造物の製造・販売に関する勉強会を前身としており、昭和40年代から活動をされていました。そして、平成11年に正式に発足し、世界に類のない鋼製砂防構造物の研究と技術の普及に尽力されてきた組織です。
 「鋼製砂防構造物」は、昭和40年代初期に「仮設構造物」として使用され始めました。昭和50年7月に発足した当センターは、「鋼製砂防構造物委員会」を設置して、「研究会」の協力のもと、鋼製砂防構造物の研究、評価、普及に取り組みました。このような過程で、昭和52年の有珠山噴火による二次災害防止のための砂防事業の実施時には、鋼材の特徴を活かした各種の鋼製砂防構造物が「恒久構造物」として現地に施工されました。
 昭和60年、鋼製砂防構造物の計画、設計に関する統一的な考え方や基準などを整備し、効果的な利用及び普及を図ることを目的に最初の「鋼製砂防構造物設計便覧」を当センターが発行しました。この便覧は、その後、研究及び技術開発が進む毎に改訂を重ね、5回目の改訂となる「新編・鋼製砂防構造物設計便覧 令和3年版」を発刊しています。また、この間に、「鋼製砂防構造物設置事例集」(H3.5)を当センターが、「鋼製砂防構造物ガイドブック」(H13.11)を「研究会」が発刊してきました。
 「鋼製砂防構造物便覧」を基に設計された各構造物は、土石流・流木対策として機能検証されており、その実績により土石流・流木対策設計技術指針にも反映されてきたところです。
 近年の全国各地で発生している土砂災害において、普段は流水のない小規模な渓流における土砂流出、多量の土砂礫が下流の住宅地で氾濫する土砂・洪水氾濫、また、流木が被害を拡大させる事例が多く見受けられます。STCは、このような現象に“より適切に”対応できる鋼製砂防構造物の改良、普及等を進めていくにあたり、「研究会」から引き継いだ貴重な資料・データを活用して進めていきます。

 (砂防技術総合研究所 冨田陽子)